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ドクターズコラム

2016年3月25日

連載①【川嶋朗先生】「温活」と、「病気の予防」と、 「この国の未来」との関係 ~“病気”ではなく“人”を診る医師でありたい

連載①(全2回)

“病気”ではなく“人”を診る医師でありたい

“病気”ではなく“人”を診る医師でありたい

病院嫌いが医師になる

 私は、病院に行くのが大嫌いな子どもでした。生まれてこのかた、右足のふくらはぎに痛みがあって押すと激痛が走るくらいなのですが、それを言うと病院に連れて行かれるとわかっているから黙っている…そんな子どもだったのです。でもさすがに痛みを白状する日が来て病院で診てもらうと、医師は原因も病名もわからないと言う。東京中の大学病院、総合病院をドクターショッピングしても、「足を切ってみないとわからない」と言われるだけ。当時は診断技術が未熟でわからなかったわけですが、「切ってみないとわからない」なんて子ども心にも納得できません。原因もわからないままだし、病院に行くのは嫌だし、納得がいかないし、というわけで、だったら自分で原因を突き止めるしかないと決め、医師になったのです。

 私たちが医学教育で教えられるのは「病気を治療せよ」ということで、「その病気を抱えているのは“人間”だ」という教育は含まれていなかったと言ってもよいでしょう。だから、医師は患者さんを診るときは病気だけに目が行っていて、患者さんの人生や環境などまで考慮せず、病気をたたけば皆幸せだと考えます。副作用があっても治療はすべきものであると習っているからです。しかし自分が患者になると、初めて病気を抱えた人間として自分を考えるため、今後の人生なども考えた治療を選択します。従って治療を受けない選択も出てくるわけです。

 私の場合は小さいころから病気を抱えていたため、はじめから病気の前に人間ありきだと思っていました。そこが私の医師としての原点であり、通常の医師とは違う視点で医療をみているのかもしれません。自分でも、自分のことをかなり変わった医師だと思っているんです。

 ちなみに、足の病気は血管腫だということがようやく医学部時代にわかりました。

日本の医療の現状を憂う

 今日本の医療の現場には、お任せ医療とエクスキューズ医療がはびこっています。

 お任せ医療というのは患者さん側のスタンス。自分の身体、自分の病気、自分の治療なのに、医師に任せきりの患者さんがいかに多いことか。たとえば「お薬は何を飲んでいますか?」と聞くと、正確な名前を覚えておらず、「白くて丸いもの」という答えが返ってくることがある。「なぜこの薬を飲んでいるんですか?」と聞いてもわからない。医師が変な薬を出すわけがないと信頼しているのでしょうが、何のための薬かも知らないのは、怖くないですか? 

 もう一方のエクスキューズ医療というのは医師側のスタンス。中には、自分の診断や治療が訴えられると困るので、のちのち言い訳できるようあらかじめ「この治療が効くとは限りません」と曖昧な表現を使ったり、(本当は未来などわからないのに)「この病気は一生治りません」あるいは「余命3か月です」と伝えて、結果的に患者さんを落ち込ませることも少なくありません。

 患者さんは主体性をもっていない。その言いなりになる患者さんに対し、医師は言い訳できる道を用意しつつ、病気だけを診て患者さんの都合などは考えず、治療をどんどん進めます。こんな医療では患者さんが幸せではないし、国の医療保険の負担も増える一方。なにより、次の世代に借金を負わせることになる。私はこうした医療を変革しなければいけないと思っています。


川嶋 朗先生

【現職】
東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科 教授
東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当
日本内科学会認定医・総合内科専門医
日本統合医療学会(IMJ)理事、医学博士

【経歴】
北海道大学医学部卒業。東京女子医科大学大学院修了。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院に留学。2003年、日本の大学病院初の統合医療診療を行う「東京女子医科大学付属青山自然医療研究所クリニック」を開設し所長に就任。

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メディア掲載情報

  • 2016年9月30日

    川嶋朗先生 読売新聞社「読売新聞(東京・大阪)」(シニア 疲れとれぬ・・・秋バテ注意)

  • 2016年9月19日

    ウーマンウェルネス研究会 テレビ宮崎「スーパーニュース Reらいふ」(今のうちから対策を「秋バテ」対処法)

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