心と身体のキホン
2015年9月25日
監修:日本大学松戸歯学部 専任講師 遠藤 眞美先生
歯周病の原因は、口の中の「細菌のかたまり」。ひとたびできてしまうと、容易には落ちません。対処法のポイントは、細菌を分散させてかたまりを崩し、落としやすくすること。そのカギとなるのが「エリスリトール」です。
口の中には600種類以上の細菌が存在しています。だ液の循環が悪く自浄作用が十分でなかったり、歯磨きが不十分だったりすると、歯と歯ぐきのすき間に「細菌のかたまり」(バイオフィルム)ができ、歯周病の原因になります。
「細菌のかたまり」を除去するには、殺菌剤だけでは充分ではありません。天然の糖質である「エリスリトール」には、だ液のもつ自浄作用のひとつである、「細菌のかたまり」を分散させやすくする作用があることが最近の研究でわかりました。
エリスリトールは、果実やキノコ、発酵食品(ワイン、醤油、味噌、清酒、しょうゆなど)に含まれている天然の糖質で、カロリーがゼロで吸熱作用が大きく、冷涼感が高いのも特徴です。また、口腔衛生用品などで広く使われているキシリトールやソルビトールと同じく、むし歯の原因となる酸を作らない糖類です。
口の中にひとたび細菌のかたまりができると、表面がネバネバとした成分(多糖成分)に覆われるため、歯ブラシの毛先をしっかり当てないと落としきれません。かといって力を入れてゴシゴシ磨くと、歯ぐきを傷めるもとに。エリスリトールは、浸透圧などの作用によって、しつこいネバネバ成分でつくられた細菌のかたまりの構造を弱め、比較的弱い力でも細菌のかたまりを分散することができます。その作用は、口腔衛生用品などでおなじみの「キシリトール」に比べ、効果が高いという特徴があります(グラフ参照)。
【エリスリトールによる細菌のかたまり(歯垢)分散作用】
【顕微鏡観察】