心と身体のキホン
2017年3月6日
監修:統合医療医 東京有明医療大学 教授 川嶋 朗先生
ウーマンウェルネス研究会の調査では、「春に不調を感じる」人がなんと約9割。さらにその不調はメンタルから身体の各所まで、さまざまなところにあらわれるのが特徴です。春に起こりやすい心身の不調「春バテ」はなぜ起きるのでしょう? 東洋医学の視点を取り入れてみると、その理由がよくわかります!
「これまで、春に感じたことがある不調は?」というアンケートのトップ10がこちら。眠りに関するものや精神的なもの、さらに肩こりや腰痛など身体的なトラブルまで、多岐にわたります。
春の不調は「病院に行くほどじゃない」「どこで受診すればいいかわからない」などと、つい放置してしまいがち。でも、なぜこの時期の不調は、身体のあちこちに出たり引っ込んだりするのでしょう? 東洋医学の考え方を取り入れてみると、その理由がよくわかります。
東洋医学では、春といえば1〜3月ごろ。この時期は「風邪(ふうじゃ)」が悪さをする季節と考えられています。風邪は、風のように体内をかけめぐり、さまざまなところに不調を引き起こします。春の不調が1か所にとどまらず、あちこちに出たり、同時に多発したりするのは、このためです。
ちなみに、この時期に風邪(かぜ)を引きやすいのも風邪(ふうじゃ)のせいとするのが東洋医学の考え方。「風邪(ふうじゃ)は首から入りこむため、風邪(かぜ)の引き始めは首筋がゾクゾクする」といわれます。
東洋医学では、春は「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」のひとつ「肝(かん)」の働きが活発になる季節ととらえます。「肝」はエネルギーや怒りを司る器官。そのためエネルギーが高まって、イライラしたりストレスを感じやすくなったりするのです。
イライラやストレスは、外に出て発散を。動物も植物も、冬にためこんだエネルギーを一気に使うことでぐんぐん成長していきます。人間も自然にならって、屋外で思い切りエネルギーを解放し、心も身体もリフレッシュさせましょう。
また、「肝」は血を貯蔵し、全身に送り出す器官とも言われます。ここがうまく働かないと、全身に送られるはずの血が滞ってしまうことも。炭酸入浴をしたり、蒸気が出るタイプの温熱シートを首やお腹に貼ったりして全身を温め、血めぐりを改善しましょう。
写真:PIXTA