冬の寒さを感じる季節がやってきました。最近、冷えや疲れで体調がすぐれないという人も多いのでは?実は、冷えや疲れは自律神経と大きく関係しています。自律神経はアクセルの働きをする「交感神経」と、ブレーキの働きをする「副交感神経」からなり、両方がよく働いていることが大切。しかし、現代はストレスを感じやすく、自律神経の機能が低下している人が多いのです。
「ウーマンウェルネス研究会」では、20〜59歳の男女1,200人を対象に冷えと疲れに関する意識調査を実施。その結果を、交感神経(アクセルの働き)と副交感神経(ブレーキの働き)によって4つのタイプに分類したところ、「ぐったりタイプ」が最も多く、全体の約6割を超える結果となりました(図①参照)。
この調査結果に対し、自律神経研究の第一人者で、プロスポーツ選手やアーティストなどのパフォーマンス向上指導に携わる順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生は次のように述べています。
「D ぐったりタイプ」が最も多いという結果は、現代社会を色濃く反映しており、非常に深刻な状態であるといえます。交感神経も副交感神経も低いこのタイプは、体力がなく非常に疲れやすいのが特徴です。
しかも、両方のバランスがとれてしまっているため、本人は不健康であるという自覚が乏しく、生活習慣を改善しようという意識が低いため、悪循環に陥りがちです。
ストレスの多い環境や睡眠不足で疲れきってしまっている「D ぐったりタイプ」は、「休み方」を間違えている可能性があります。「休む」=「動かない」ことではありません。
疲れているからといって、帰ってソファに座り込んだり、休日にごろごろしてすごしたりするのは、実はかえって疲れを溜めてしまっているのです。休むときには、むしろ動いたほうがよく、適度な運動をすることで血流が改善されます。その結果、ストレスも軽減し、疲れも解消されやすくなるのです。
「D ぐったりタイプ」も適切な対策をとることで、理想的な「A 絶好調タイプ」に近づくことができます。
また、「A 絶好調タイプ」もおかれる環境によっては、「B がんばりすぎタイプ」や「C ねむだるタイプ」へ移行してしまう危険性もあるため、首を温める「首温活」を中心とした対策をとることが必要です。
冷えや疲れを感じやすい現代人にとって、自律神経の機能を高めるために最も効果的なのは「首温活」です。首には太い血管があるので、首を温めると全身の血液が温まりやすくなり、冷えや疲れもやわらぎます。また、首を温めると副交感神経の機能も高まります。その結果、リラックスできるようになったり、血流がよくなったりすることでこりもほぐれ、全身の疲労感が解消されやすくなります。
首には太い血管や副交感神経のセンサーがあるため、日中に疲れを感じたときや夜寝る30分前に、ホットタオルや温熱シート、保温効果のあるネックウォーマーなどで首を温めると効果的です。
炭酸ガス入りの入浴剤を入れた38~40℃のぬるめのお湯に首まで5分つかり、首が温まった後に胸まで10分つかります。この方法により、炭酸ガスによる温浴効果で全身の血行がよくなり、副交感神経の働きも高めることができます。炭酸入浴を継続すると自律神経の機能が高まることがわかっています(グラフ①)。
また、過剰な活性酸素は疲労状態をひきおこす要因となりますが、最近では、継続的な炭酸入浴により活性酸素の量が低減するという研究結果も報告されています(グラフ②)。
交感神経、副交感神経ともに機能が高く、理想的といえる「A 絶好調タイプ」ですが、環境によっては「B がんばりすぎタイプ」や「C ねむだるタイプ」に移行してしまう可能性があります。自分のペースに合わせて、適度な運動や腸内環境を整える対策を意識しましょう。
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査期間:2017年6月23日〜30日
調査対象:首都圏の20〜59歳の男女1,200名
調査内容:あなたの体調に関する意識調査