2014年11月26日
監修:歯科医 高柳歯科医院 高柳 篤史先生
むし歯ではないのに歯がしみる――これが知覚過敏です。とくに冷たいものがしみるという特徴があります。 歯の外側はエナメル質というかたい組織でおおわれています。その中には少しやわらかい象牙質という組織があり、象牙細管という細い管を通して歯の神経とつながっています。 知覚過敏は、この象牙細管から刺激が神経に伝わり、痛みが生じることで起こります。
歯ぎしりなどにより、歯が薄くなったところにひびが入ったり、エナメル質の根もとが削れたりします。そうすると、その部分から神経に刺激が伝わりやすくなります。
通常、歯の外側はかたいエナメル質におおわれているためすぐに痛みは伝わりません。しかし、加齢によって歯ぐきが下がると、エナメル質におおわれていない歯ぐきのキワの象牙質が露出し、神経に刺激が伝わりやすくなります。
歯ぐきは加齢によっても下がるため、50代~60代の知覚過敏はおもに歯ぐきに由来するものが多いと考えられます。 大人の知覚過敏の特徴として、前歯と奥歯の中間にある「小臼歯部(しょうきゅうしぶ)」(犬歯の一本後ろの二本の歯)の“歯と歯ぐきのキワ”で痛みを感じやすいことがあげられます。
※50代~60代 歯ぐき悩みかつしみる悩み(花王調べ)
たまにしみるという程度の知覚過敏なら、唾液に含まれるミネラル成分が歯の神経とつながっている象牙細管を塞ぎ、自然に治ることもあります。 しかし、何の対策もしないでいると、歯周病の悪化につながることも。 50代~60代の大人の知覚過敏は歯周病のサインと受けとめて、適切なケアをすることが大切です。
■歯肉炎…歯と歯ぐきの間で増殖する細菌の塊(歯垢)から毒素が出され、歯ぐきに炎症が起きている状態をいいます。歯と歯ぐきの間の溝が深くなり、歯ぐきが赤く腫れ、わずかな刺激で出血しやすくなります。 ■歯周炎(歯槽膿漏)…歯と歯ぐきの間の溝がさらに深くなり、その中にひそむ細菌が増殖して炎症を起こすことで、歯の土台の骨を溶かしてしまう状態をいいます。進行すると、歯が抜けてしまうことも。50代以降の歯のある人の約半数に、なんらかの歯周炎の症状が認められています。
写真:getty images
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