中城歯科医院 医院長 歯学博士 鍼灸師 中城 基雄先生
電車の中やオフィス、自宅などで、気付くとスマホの画面を見つめっぱなしということありませんか? その姿勢を長時間キープすることが口臭の原因になっているかもしれません。
スマホを使うときは、胸の前あたりでスマホをもち、あごを引いてうつむいた姿勢になりがちです。この姿勢になると、耳の下やあごのわき(耳の下からあごの骨の輪郭にそって)、あごの下にある唾液腺が圧迫されて、唾液が出にくくなります。
また、スマホを使っているとあっという間に時間がたってしまいます。その間、ずっとしゃべらないでいると顔の筋肉がこわばります。さらに、メールやSNS、ゲームなどに集中していると心身が緊張し、交感神経が優位になります。筋肉を動かさないことや交感神経が優位になることも、唾液分泌量が減少する原因です。
唾液が減って口の中が乾燥すると、口臭の原因となる菌が繁殖しやすくなります。菌がとくに多くすみ着いているのが、舌の奥のほうにこびりついた舌苔(ぜったい)です。舌苔は、悪臭をつくり出す菌の温床ともいえる場所。つまり口の中が乾燥すると、舌苔がいやなにおいの発生源となってしまうのです。
また、舌や歯の表面が唾液でコートされていれば、においがたち上るのを防ぐことができますが、口の中が乾燥するとにおい物質が揮発しやすくなり、においが強くなる可能性もあります。
ちなみに、唾液には、食事などの刺激によって分泌される「刺激唾液」と、ふだんから分泌される「安静時唾液」があります。安静時唾液の分泌量は年齢とともに減少するので、年齢が高くなるほど、スマホの使い過ぎには注意が必要です。
スマホを連続して使うのは30分以内にしましょう。30分に一度はおしゃべりをしたり、あごを上げて背伸びをしたりして、かたまった顔の筋肉をほぐすと、唾液の分泌が促されます。このほかに、次のような行動もおすすめです。
写真:Thinkstock / Getty Images