2018年11月14日
監修:中城歯科医院 医院長 歯学博士 鍼灸師 中城 基雄先生
スマートフォン(以下スマホ)の長時間使用の影響で、口臭が発生しやすくなっている現代人。でも口臭って、自分ではわかりづらいですよね? もしかしたら知らず知らずのうちに、あなたも口臭が強くなっているかもしれません。
スマホの長時間使用が、口臭を強くすることをご存じですか?
口臭の原因のひとつは、舌の上の菌のかたまり「舌苔(ぜったい)」です。舌苔とは、舌の中ほどからやや奥のほうについている白いもの。唾液が十分に出ていれば、菌を流してくれるので、不快な口臭を発生させるほど増えないのですが、唾液の分泌が減ると、菌がかたまりになって舌苔を増やし、口臭を発生させてしまいます。
その唾液減少の要因として、スマホの長時間使用が挙げられます。スマホを使っているとき、人はどうしてもうつむきの姿勢に。すると、あごの下あたりにある唾液腺が圧迫され、唾液の分泌が減ってしまうのです。パソコンを使っているときも同じです。うつむきになるので、唾液分泌が減って口臭が発生しやすくなります。
スマホもパソコンも、もはや日常生活に欠かせないツール。そのため、現代人は口臭が発生しやすくなっているともいえます。
自分の口臭はわかりづらいもの。そこで、まずは下記の①〜⑩でチェックしてみてください。Yesが多ければ多いほど、スマホ口臭の予備軍として注意が必要でしょう。
睡眠中は唾液分泌がないため、舌苔がつきやすくなります。とはいえ、起床時に指でかき取れるほど大量の舌苔がついているのは問題。すでにスマホ口臭になっている可能性が大です!
横になって頭を枕に乗せることで、普段スマホを見るとき以上にあごを引いた姿勢になり、唾液腺が圧迫されます。
脳の酸素が少なくなっている状態です。長時間、あごを引いてスマホを使うことで、椎骨動脈が圧迫されたことが原因です。「回転性のめまい」ではないところが特徴です。
唾液量の減少により、味を甘受する「味蕾(みらい)細胞」への刺激が少なくなっている状態です。
スマホの見過ぎで猫背になり、胸郭が狭くなると、呼吸は浅くなります。
長時間のスマホ使用等で前傾姿勢になり、横隔膜が動きにくくなったことで、内臓の蠕動(ぜんどう)運動が減り、胃腸障害が出ている状態です。
唾液の分泌量が減ると、口腔内の水分が不足し、舌の表面がひび割れます。
交感神経が優位な「過緊張」の状態になっています。過緊張が続くと唾液分泌が減るため、口臭が発生しやすくなります。
スマホの使用時間が長いと、人と喋る時間が減り、咀嚼筋や舌筋をあまり動かさなくなるため、うまく飲食物が飲み込めなくなります。肺に飲食物などと一緒に細菌が入る「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」予備軍ともいえます。
唾液分泌が減ったために、口腔内の衛生状態が悪くなっている状態です。菌が作る代謝産物量が増えることで、普段と違う味がしてきます。
枕を共有する位の近い距離感で臭気が届くレベル
ファミレスや居酒屋で、肩が触れる位の距離感で臭気が届くレベル
喫茶店や接客などで、テーブルを挟んだ対面でも臭気が届くレベル
チェックリストでスマホ口臭予備軍かもと思った人は、さっそく対策をはじめて。下記の方法が有効です。
泡ハミガキとは、普通のハミガキではたてることのできない、きめ細かく濃密な泡が容器から出てくるハミガキのこと。舌にじかにのせて、クチュクチュと口内全体にいきわたらせると、泡が舌のよごれに密着し、口臭の原因となる舌の上の菌まで取り除いてくれます。
スマホの連続使用は15~20分、長くても30分程度を目安に。時間が来たら一度スマホから目を離して、伸びをする、お茶を飲むなどの休憩を挟むようにしましょう。
<唾液腺マッサージ>
唾液腺のマッサージをするのも効果的です。耳たぶの下の「耳下(じか)腺」を人差し指で、あごの骨の内側の「顎下(がっか)腺」を4本の指で、あごの下の「舌下(ぜっか)腺」を親指で、1~3分程度マッサージしましょう。唾液の出が悪いときは痛いですが、習慣化して続けているうちに痛気持ちいい感じに変わり、押しても何も感じなくなったら、唾液の出が回復している証拠です。
唾液には、口臭の原因となる菌を洗い流したり、繁殖を抑えたりする作用のある「サラサラ唾液」と、消化を助ける「ネバネバ唾液」の2種類があります。交感神経(ストレス神経)が優位になると、ネバネバ唾液が多くなります。一方、副交感神経(リラックス神経)が優位だと、サラサラ唾液が増えます。口臭予防のためには、リラックスする時間を意識的につくることはとても大事です。ちなみに、耳下腺からはサラサラ唾液が、顎下腺からはサラサラ唾液とネバネバ唾液、舌下腺からはネバネバ唾液が分泌されます。
写真:Thinkstock / Getty Images
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