監修:中城歯科医院 医院長 歯学博士 鍼灸師 中城 基雄先生
口の中が乾燥しやすい冬は、口臭が強くなりやすい季節。スマホ口臭の影響も出やすいといいます。そこで口臭の専門家であり歯学博士の中城基雄先生に、“冬のスマホ口臭対策”についてうかがいました。
口臭が発生する原因のひとつは、舌の上の菌のかたまりです。口の中に十分な唾液が分泌されていれば、菌は洗い流されるため、嫌な臭いを発生するほどには増えません。しかし唾液の分泌が減ると、菌がかたまって増殖。「スカトール」などの悪臭成分が発生してしまいます(図①参照)。その原因として挙げられているのが、スマートフォン(以下スマホ)です。
スマホを使い過ぎると、唾液分泌が減って口臭が発生。この口臭を「スマホ口臭」といいます。少しでも時間があればスマホを取り出し、SNSやメールをチェックしたり、ネット検索をしたりしがちな現代人の多くは、スマホ口臭予備軍といっても過言ではありません。また、パソコンを長時間使う人の間でも、同じ理由で口臭が発生しやすいことがわかっています。
もともと冬は、湿度の低下や暖房などの影響で、髪や肌だけでなく、口の中の粘膜も乾きやすい季節。そのため菌が洗い流されにくく、口臭が強くなりがちです。また、外と内との「寒暖差」が自律神経を乱れさせることも、口臭が強くなる原因に。唾液は、副交感神経が優位なリラックスモードのときによく分泌されるのですが、冬は寒暖差がストレスとなって交感神経を優位にするため、唾液の分泌量が減るのです。
このように口臭が発生しやすい冬は、いつも以上にスマホ口臭への注意が必要です。ただでさえ口の中が乾いているところに、スマホの使用でさらに乾くと、いつも以上に口臭が強くなってしまいます。
スマホを使うことで唾液分泌が減るのは、まずはその姿勢に原因があります。どんなに気をつけていてもうつむき加減の姿勢になりがちなので、あごの下あたりにある「唾液腺」が圧迫されるのです。
また多くの場合、スマホを使っているとき、人は誰とも喋らなくなります。すると咀嚼筋(そしゃくきん)がこわばって、唾液分泌が減少します。
さらに、画面に集中することで過緊張が続き、交感神経が優位になるのも問題です。
乾燥する冬は、いつも以上にスマホ口臭が発生しやすい季節。だからこそ、しっかりした対策が必要です。