監修:睡眠専門医 スリープクリニック調布 院長 遠藤 拓郎先生
冷え込んだ冬の朝…目覚めが悪いと感じている人は多いはず。夜もなかなか寝つけないなど、冷え性(冷え症)の方は特にお悩みではないでしょうか?
血めぐり研究会の調査※では、日ごろ冷えを感じている人の睡眠満足度は、冷えを感じていない人よりも大幅に低いということがわかりました。
冷えを感じている人(n=453)は、感じていない人(n=675)に比べて、「朝の目覚めが悪い」においては、約30%(グラフ①)、「寝ても疲れがとれない」においては約25%(グラフ②)、「寝つきが悪い」については約19%(グラフ③)も高い結果となりました。
※2012年10月実施 30~50代の男女1,128名に対するインターネット調査
睡眠専門医である、スリープクリニック調布院長 遠藤拓郎先生によると
とのこと。「気温」と「日照」が睡眠に与える影響について、詳しく解説します。
冷え性(冷え症)の人の睡眠不満が高くなる要因のひとつは、「冬の低気温」です。遠藤先生によると、
とのこと。
睡眠と密接な関係にあるホルモンのひとつが「メラトニン」です。メラトニンは体温が下がる時に分泌され、眠りを誘います。特に気温が冷え込むこの季節、冷え性の人は寝る前の体温調節がうまくいかず、体温が下がりにくいため、メラトニンの入眠効果が十分に発揮されません。
睡眠不満が高まるもうひとつの要因は、「日照」です。
人は朝の太陽の光を浴びることで眠気がとれるようなメカニズムになっています。しかし冬の朝は日の出が遅く、太陽の光も弱いもの。そのため、なかなかすっきり目覚められないということが起こりやすいのです。
朝晩の冷え込みが厳しいこの季節は要注意。
良質な睡眠がとれないことが原因で、思わぬ不調を引き起こすかもしれないのです。
冬の睡眠不満に悩まされる「睡眠難民」を救うカギについて、遠藤先生は次のように解説しています。
熱いお湯に入ると交感神経が優位になり、身体は「お目覚めモード」になってしまうのでご注意!身体を芯から温めリラックスするには、38~40度のぬるめのお湯に10~20分程度ゆっくりとつかること。副交感神経が優位になって、リラックスできます。
また、炭酸の入浴剤の使用もおすすめです。お湯に溶け込んだ二酸化炭素が皮膚に浸透して血管を拡張し、血めぐりがよくなります。そのため、ぬるめのお湯でも身体が内側からしっかりと温まるのです。
上の画像は、38度に設定した炭酸風呂と、同じく38度のさら湯にそれぞれ15分ずつつかり、サーモグラフィで体の温度変化を観察した結果です。こんなに温まり方に差が出ました。
好きな香りの入浴剤を選ぶと、さらにリラックス効果が高まるでしょう。
首もとは、温かさを感じるポイントが集まっている部位。首もとを温めれば全身の血めぐりがよくなるので、手足まですばやく温まります。その結果、放熱が促され、身体の深部温度が下がるため、入眠しやすくなるのです。
市販されている、首もとに直接貼るタイプの「温熱シート」を活用して、就寝の30分前に首もとを温めましょう。特に手足の冷えを感じやすい人にはおすすめです。
毎日のちょっとした工夫で、睡眠の質は改善できます。風邪などの病気が流行りやすい冬こそ、質の良い睡眠をとって疲れをためない、免疫力の高い身体づくりをしていきましょう。