監修:産業医、医療法人社団 同友会 産業医室勤務 大室正志先生
週末、どこにも出かけずしっかり休んだのに、疲れが取れない。どんどん疲労が溜まっていく……。そんな経験はありませんか? ウーマンウェルネス研究会が、首都圏在住の20 ~50代のビジネスパーソン男女854人を対象に疲労に関する意識調査を実施したところ、約8割以上が疲労の蓄積を感じていることがわかりました。
疲労の蓄積を感じているかどうかを聴取したところ、「蓄積している」と答えた人が8割以上という結果に(グラフ1参照)。
最も多くの人が蓄積疲労を感じるのは、週末に向かう金曜日・木曜日です。ただ、週明けの月曜日が3位であることから、週末にリフレッシュできていない人が多いことがうかがえます(グラフ2参照)。
週末の実態について確認したところ、「平日に溜まった疲れが週末まで持ち越されてしまっている」と感じている人は、約9割に及んでいます(グラフ3参照)。
週末の過ごし方は「疲れをとるために自宅でゆっくり過ごす」が第1位(グラフ4参照)。「疲れを引きずり、良い週末を過ごせなかった」と感じている人は約8割という結果に(グラフ5参照)。
週末を蓄積疲労の解消に費やし、良い週末が過ごせていないという現代人の実態が浮き彫りになりました。
産業医の大室正志先生によると、近年、働き方改革の影響で、短い時間で高いパフォーマンスを求められるようになり、30代後半世代のミドル層が疲労の蓄積を訴えるケースが多くなっているそう。その蓄積疲労の正体は「脳疲労」です。
「現代人はデジタル機器に囲まれ、交感神経が優位な過緊張状態が続くため、脳の疲労を加速させてしまいます。さらに、長時間のデスクワークによる、“運動不足”も脳疲労に拍車をかけます」(大室先生)
最近は、モバイル機器の発達で、休みの日も仕事モードから抜けきらない“スクリーンセーバー状態”の人が増えています。休日に仕事のことが頭から離れない状態で過ごしていると、疲労が取れないまま月曜日を迎えることに……。「実は、休日に仕事モードをシャットダウンしてリフレッシュした人のほうが、週明けから元気に仕事に取り組んでいます。充実した週末を迎えるために、金曜日の夜のうちに溜まった疲れを取っておくことが大事です」と、大室先生。蓄積疲労の解消法は、まず良い睡眠をとることから。忙しくて睡眠の時間や質が十分でない人は、金曜日の夜に、以下の疲労解消法を試してみましょう。金曜日のうちに疲れを取って、充実した週末に!
疲労は、月曜日から金曜日に向かって蓄積していきます。蓄積疲労の解消には、炭酸ガス入りの入浴剤を入れた38~40℃のお湯に10〜20分つかりましょう。炭酸入浴なら、リラックスに最適なぬるめのお湯でも、末梢の血管を拡張して血流をよくするため、効率的に疲れを取ることができます。以下のデータは、一週間の疲労感の変化を示したものです。疲れが蓄積した金曜日の夜に“高濃度”の炭酸ガス入り入浴剤を入れたお湯につかると、溜まった疲れが減り、土曜日の起床時には、月曜日の起床時よりも疲労感が減っていることがわかります(データ1参照)。
軽く汗をかくような早歩き、自転車こぎ、軽めのランニングなどの有酸素運動を、疲れない程度、心地よいと感じる程度に行うといいでしょう。とくに、手足の先が冷えて眠れないという人は、運動習慣を取り入れて、血行をよくしましょう。
塗り絵や写経、編み物など、頭を使わずに集中して手を動かすことをしてみると、リフレッシュできます。
<意識調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査期間:2018年8月7日〜8月9日
調査対象:首都圏の20歳〜59歳の男女 854名
*業務でデジタル機器を使用する、土日祝日休みの働く男女