監修:帝京大学ちば総合医療センター 耳鼻咽喉科 教授 鈴木雅明先生
空気が乾燥する季節。朝、起きたらのどが痛い、口の中が乾燥している、いつもより口臭がある…。そう感じることはありませんか? それは、眠っている間の口呼吸が原因かもしれません。自覚がない人でも“かくれ口呼吸”になっている可能性が! 口呼吸で起きやすい健康問題と対策についてご紹介します。
ウーマンウェルネス研究会が「就寝時の口呼吸」について、20代〜60代の男女を対象に行った調査では、約5割が就寝時の口呼吸を自覚していることがわかりました。(グラフ①)。
さらに、眠っている間に口呼吸になっているサインのひとつに「起床時の口の乾燥」がありますが、「起床時に口の中が乾燥している」と答えた人は約7割という結果に(グラフ②)。このことから、「自覚はしていないけれど、就寝時に口呼吸になっている」という人も多いことが推測されます。
また、今回の調査では、就寝時に口呼吸をしている人ほど、「風邪をひきやすい」と感じていることも明らかになりました(グラフ③)。
本来、人の呼吸は鼻呼吸ですが、乾燥や低温、花粉、ハウスダストなどの環境ストレスによって鼻がつまると、口呼吸になりやすくなります。口呼吸は風邪やインフルエンザなどの感染症をはじめ、のどの痛みや違和感、睡眠不全など、さまざまな健康問題を引き起こします。
鼻は「加温・加湿機能つきの空気清浄機」といえます。鼻呼吸のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
1. 鼻毛と鼻の中の線毛で異物やウイルスを除去する
2. 鼻腔の中で外気を加温・加湿する
3. 温められ、加湿された空気がのどを通り肺に届く
人本来の鼻呼吸であれば、鼻毛と線毛の動きによって異物やウイルスが取り除かれるため、風邪やインフルエンザへの感染リスクが下がります。また、鼻で加温・加湿された空気がのどに入るため、のどの粘膜がダメージを受けにくくなります。
「なかでも口呼吸になりやすいのが、自分でコントロールできない就寝時。
眠っている間は筋肉がゆるみ、意識して口を閉じることができないため、口呼吸になりやすくなります。加えて、夜間は鼻炎などのアレルギー症状が悪化しやすく、鼻づまりが起こりやすい時間帯でもあるのです。自覚がなくても、『朝起きたときに口が乾いている』『いびきをかいている』などの兆候があれば、眠っている間に口呼吸になっているサインです」と鈴木先生。
とくに空気が乾燥する冬は注意が必要です。冬の乾燥環境は年々過酷になっており、東京では20年前に比べて約20%も乾燥が進んでいます(グラフ④)。
眠っている間は、口呼吸になっていても自分では気づきにくいもの。以下の項目に当てはまる人は、自覚がなくても就寝時に口呼吸になっている可能性があります。
風邪やインフルエンザ予防には、のど、鼻の加温・加湿が重要です。
就寝時にのど・鼻を加温・加湿すると、鼻づまりが解消されて呼吸しやすくなり、睡眠の質が高まります。風邪やインフルエンザが気になる季節は、以下の方法を日常生活に取り入れてみましょう。
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査期間:2019年8月30日〜9月4日
調査対象:首都圏の20歳〜69歳の男女602名
調査内容:口呼吸に関する意識調査