監修:睡眠専門医 スリープクリニック調布 院長 遠藤 拓郎先生
秋の夜長、ついつい夜更かしして寝不足な日々を過ごしてはいませんか?
血めぐり研究会では、「睡眠」と「血めぐり」の関係に着目し、2012年8月に全国の20~50代の男女800名に睡眠に関する調査を行いました。その結果、「睡眠に不満がある」と答えた439名のうち、86.4%が睡眠に対して「何らかの改善をしている(いた)」「対策方法がわからないので何もしていない」と回答していました。
この結果から、自身の睡眠に不満足で何らかの対策は行っているが改善できていない、あるいは対策方法がわからないので何もできていないという「睡眠難民」が多数いることがわかりました。
※2012年8月実施、日本在住の20~50代の男女800名(各年代100名ずつ)に対するインターネット調査
今回の調査では、身体の「冷え」を感じている人の約7割が睡眠に「不満足である」と回答しており、睡眠に関して様々な悩みを抱えていることがわかりました。
「冷え」の他にも「肩こり」など、血めぐり不良が原因の不調を抱える人の過半数が睡眠に対して「不満足」と回答しており、「血めぐり」が睡眠の質に影響を及ぼしていることが明らかになりました(グラフ①②)。また、日ごろストレスを感じている人の約7割が、睡眠に不満足であると回答しています(グラフ③)。
通常は、就寝前に体温が上がると、身体の表面、特に手足から放熱されて体温が下がり、眠くなります。つまり就寝前の体温調節が非常に重要なのですが、現代人は、冷えやストレスの影響で、血めぐりが悪くなり、就寝前の体温調整がうまくできない人が増えています。
冷えを感じている人は、手足などの末梢血管の血めぐりが悪く、熱が運ばれにくいことが原因です。
また、ストレスを感じている人は、交感神経が優位になり、血管が収縮するため、血めぐりが悪くなり、体温調節がうまくできません。良い睡眠には血めぐりが重要なのです。
また、睡眠難民に就寝直前の行動について聞いたところ、「パソコンの操作」、「テレビ/ビデオを観ている」が6割以上、「携帯電話やスマートフォンを操作」が4割以上と、上位を占めていました。
夜9時をすぎると睡眠に必要なメラトニンの分泌がはじまりますが、その時間にパソコンやテレビ、携帯などの強い光をあびることは良い睡眠の妨げになります。
今回の調査結果に対し、睡眠の専門家であるスリープクリニック調布院長 遠藤拓郎先生は、次のようにコメントしています。
睡眠には2つの種類があります。1つは夢を見ている「レム睡眠」で、もう1つはほとんど夢を見ない「ノンレム睡眠」です。
睡眠中は、この「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」がセットになり、約90分周期で4回から6回繰り返されて、目覚めに至ります。身体や脳の休憩、身体の成長などは「ノンレム睡眠」の間に行われます。
「ノンレム睡眠」は、右図のように1~4段階(浅い~深い)になっていて、この番号が大きければ大きいほど眠りが深いことを示しています。特に大きい3~4の段階が「深睡眠」です。
「深睡眠」は、寝てから3時間の間に多く出る、と言われています。
「深睡眠」は、身体や脳の休憩(修復)や身体の成長など、身体の機能を維持するための重要な役割を担っています。成長ホルモンもこの時間に分泌されます。
「深睡眠」がきちんととれているかどうかを自己チェックしてみましょう。
以下のうち、ひとつでも当てはまる人は、「深睡眠」がとれていない可能性があります。
睡眠の専門家、遠藤拓郎先生は次のように説明しています。
「首もと」と「目もと」は、短時間で心地よい温かさを感じることができる部位。就寝の30分くらい前に、首もとや目もとをやさしく温め、心と身体をリラックスモードにきりかえましょう。