監修:統合医療医 東京有明医療大学 教授 川嶋 朗先生
暖かくなってきたけれど、なんだか体がだるい、やる気がおきない…春に感じる体調不良「春バテ」に、今年は長引くコロナ禍のストレスも影響しているかもしれません。
ウーマンウェルネス研究会では、首都圏在住の835人(20代~50代男女)に調査を実施。その結果、季節の変わり目である春(3-5月)に、身体の不調を感じている人が6 割を超え、さらに、精神面の不調を2人にひとりが感じていることがわかりました。また、いずれも男性よりも女性の割合が1割ほど高い結果となりました(グラフ①、②)。
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛や生活環境の変化が起こりました。それにともない生じた不安・ストレスの影響もあり、春バテで感じた症状は「気分が落ち込む」が最多となりました(グラフ③)。また、2020年の春に「寒暖差が身体にこたえる」と感じた人は半数以上にも及び(グラフ④)、激しい寒暖差に加え、コロナ禍で例年以上に精神的なストレスを感じやすい状況が、心身に影響を与えていたと推測されます。
「春バテ」を引き起こす原因は、大きく分けて3つあります。
春は、1年の中でもとくに寒暖差が激しく、身体が寒暖差に対応するため、交感神経が優位になりっぱなしになり、相当量のエネルギーが消耗されるため、「疲れ」や「だるさ」を感じやすくなります。
移動性高気圧が次々にやってきて低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わるこの時期、自律神経の切り替えがうまくいかなくなりがちです。また、低気圧になると、血中の酸素濃度が下がり、昼でも眠くなったり、身体がだるくなったりします。
春は、卒業、入学や進学、転勤、異動、育休後の復職など、自分や身のまわりの生活が大きく変化する季節。さらにこの春は、新型コロナウイルス感染への不安や、自由に外出したり人と会ったりすることができない、趣味を思い切り楽しめないなどの状況が続いていることへのストレスを感じている人も多いでしょう。知らず知らずのうちに緊張感やストレスが生じることで自律神経が乱れ、春バテしやすくなります。
ここで、そのほかにも「春バテ」になりやすい人の生活習慣をお教えします。現在の生活習慣を振り返ってみましょう。
2つ以上当てはまった方は、「春バテ予備軍」かもしれません。対策をしっかりして、春に備えましょう。
「春バテ」に負けないために、1日のルーティンの中にかんたんな対策を組み込んでみては?気持ちの切り替えがむずかしい在宅勤務中など、シーン別に4つの対策をご紹介します。
オンラインでのやりとりが多い在宅勤務。移動時間がなくなったことで会議が立て続いたり、勤務時間外にもついメールをチェックしてしまったり、オンオフの切り替えがむずかしく、緊張状態が続いてしまいます。お昼休みなどの休憩中や、疲れを感じたとき、蒸しタオルなどで目もとを温めてリラックス、気持ちを切り替えるタイミングをつくりましょう。
炭酸ガス入りの入浴剤を入れた38~40℃のお湯に10~20分つかります。
炭酸ガス入りのお湯は、末梢の血管を拡張して血流をよくするため、短時間で身体を温めることができます。また、「春バテ」特有の不調である身体の疲れやだるさの改善にも繋がります。
寝る前にぬるめのお風呂に入って、じっくりと身体を温めながら、副交感神経を優位にすれば、寝つきもよくなります。
目もとには自律神経が集中しているため、蒸しタオルなどで目もとを温めることで副交感神経が優位になり、リラックスできます。手や足の皮膚温が上がり、身体の熱が外に逃げる「放熱」が促進されるため、寝つきがスムーズになるのです。心地よいと感じる40℃程度で目もとを温めてみましょう。眠る前のスマートフォンは交感神経が活発になってしまうため控えめにしましょう。
外気の寒暖差だけでなく、在宅時間が長い今、とくに気をつけたいのが室内外の温度差。これも身体に大きく響きます。しかも、「寒い!」と感じた瞬間には自律神経が乱れてしまうのです。
首、手首、足首を外気にさらさないようにしておくことはもちろん、血流が多く、太い血管のある、首、腰、お腹、太ももは、温熱シートなどであらかじめ温めておいてから外出するとよいでしょう。
また、気温が上がってくると、いち早く春のファッションを取り入れたくなりますが、ストールやカーディガン、温熱シートなど、寒さを防ぐアイテムを常に携行しておけば、大いに役立つでしょう。
<意識調査概要>
調査方法 : インターネット調査
調査期間 : 2021年2月10日~2月15日
調査対象 : 首都圏の20歳~59歳の男女 835名
調査内容 : 春の不調に関する意識調査