監修:統合医療医 東京有明医療大学 教授 川嶋 朗先生
暑い季節がやってきました!今年の夏も酷暑が予測されています。今回は気になる「夏の冷え」と、「熱中症」などの身体の不調に関する調査を実施しました。
ウーマンウェルネス研究会の調査※では、女性の約8割が「冷え性(冷え症)」であると自覚していることがわかりました(グラフ①)。
また、昨夏に身体の不調を感じた女性のうち、冷え性(冷え症)の方は約8割で(グラフ②)、それらの女性は「だるさ」(79.6%)、「発汗」(61.6%)、「胃腸の不調」(59.5%)などの体調不良を抱えていた人が多いことがわかりました(グラフ③)。
※2013年6月、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の20~50代の女性400名に対するインターネット調査
ウーマンウェルネス研究会メンバーの東京有明医療大学 教授 川嶋朗先生は、次のように述べています。
暑さが厳しい夏場は、冷たい飲み物や食べ物を度々摂取したり、冷房が効いた室内で長時間過ごす機会が増えてしまうと思いますが、身体を内側からも外側からも冷やしてしまう「内外冷え(ないがいびえ)」こそ、体調不良の原因です。
「内臓冷え」で身体を冷やすことで、血管が極端に収縮すると血めぐりが悪くなり自律神経が乱れ、体温調整を上手く行えない身体となってさまざまな体調不良を招いてしまいます。
昨年に比べ節電意識が薄まったことやクールビズの普及でカジュアルな装いがオフィスでも認められることで、環境によっても「冷え」を誘発していると考えられます。
ウーマンウェルネス研究会の調査※でも、冷え性(冷え症)の女性の約6割が「冷房による冷え」「屋内と屋外の温度(気温)差」が昨夏の体調不良の原因であると回答しており、「冷え」環境に身体がなじめず、悩まされていたことがわかります(グラフ④)。
今夏(6月-8月)の北日本・東日本・西日本の気温は、「平年並」と「高い」確率を合わせると80%に達するという予報です(グラフ⑤)。このような環境では暑さに耐えられず、ついクールダウンにばかり走ってしまうことで「冷え性(冷え症)」を誘発し、体調不良に陥ってしまう人が多く現れることが懸念されます。
「内外冷え(ないがいびえ)」を繰り返すと、全身の“血めぐり不良”を引き起こし、元来「冷え性(冷え症)」ではなかった方も転じてしまう可能性があります。「冷え性(冷え症)」になると“血めぐり不良”によって、自律神経のコントロールが上手くいかない状態を招くため、外部環境に合わせて体温調整がしにくい体質となってしまいます。熱中症も、体温調整が上手くできず、体温が上昇することで発症するため、冷房で冷えた屋内から暑い屋外に出た際、急激な温度差に対応できず、体温が急上昇し、熱中症になってしまう可能性が高くなるのです。すなわち「冷え性(冷え症)」=「熱中症」体質という裏腹な状態を招いてしまいます。
調査※でも「内臓冷え」を感じている女性は、夏場に「熱中症」の代表的症状とされる「だるさ」(81.1%)、「疲労」(81.1%)、「頭痛」(59.8%)、「めまい」(52.8%)、「食欲低下」(44.5%)などの不調に悩まされていることがわかっており、夏でも「冷え」には十分に注意し、“血めぐり力”を向上させることが大切です。「熱中症」対策が仇となり、常に身体を冷やし続けてしまう“常冷(とこびえ)”に陥らないようにしましょう。
暑さが厳しい今夏!だからこそ、過度なクールダウンによる「内外冷え(ないがいびえ)」対策として血めぐりアップを心がけ、「熱中症」を招かない体質づくりを目指しましょう。
暑さ対策として、1日中冷たい物をとってしまうことはありませんか?そのようなことを何日も続けていると口から胃腸まで常に冷やし続け、“冷え体質”を作り出してしまい、“血めぐり”を悪化させて「熱中症」に弱い身体になってしまいます。
お腹に手をあてて“ひやっ”と手のひらが感じたら要注意!胃腸が冷えている可能性ありです。朝昼の食後、消化が活発になる時「温かい飲み物」で胃腸を温めて、「内臓冷え」を軽減させましょう。
夜は1日の“冷えリセット”として、“血めぐり”をよくする「炭酸ガス入浴剤」入りのお風呂で身体を温めましょう。38~40℃の「ぬるめのお湯」に、10~20分つかることをおすすめします。炭酸湯は身体が温まりやすくなり、「内外冷え(ないがいびえ)」で冷えた身体を芯から温めて、「熱中症」になりにくい体質をつくります。ぬるめのお湯での入浴は副交感神経が優位になり「リラックスモード」になるため、疲労回復にも効果的です。
電車やオフィスなど冷えが気になる環境では、冷え対策として、あらかじめ市販の肌に貼る温熱シートをお腹や腰、首もとに貼っておくとよいでしょう。温熱シートは薄くて持ち歩きにも便利なので、いつもバッグに常備し、胃腸の冷えや冷房による冷えを感じたときに活用しましょう。